今年は感染性胃腸炎症状(嘔吐、下痢、腹痛)を訴えて受診される方が大変多くなっています。
冬場から継続してずっと患者さんが多い状態が続いています。
重症化を防ぐためには早めの受診が大切です。
感染性胃腸炎とは
感染性胃腸炎は、ウイルス性のものと細菌性のものに大別されます。
発熱に加えて嘔吐や下痢、腹痛といった胃腸症状が特徴で、脱水症状に気をつける必要があります。
ウイルス性胃腸炎
冬に流行するノロウイルスが代表的です。他にもロタウイルスやアデノウイルスなども原因となります。嘔吐や下痢、腹痛といった胃腸症状に加えて、発熱や咳、鼻水といった風邪症状を伴うこともあります。高度の下痢や嘔吐による体内からの水分喪失や、口から水分を摂取できないことにより、脱水症状を引き起こしやすく、注意が必要です。
細菌性胃腸炎
主に食中毒の原因とされている菌を原因とする胃腸炎です。カンピロバクターやサルモネラ、O-157などが原因となります。強い腹痛や血便の出現など、症状が重篤になることもあり、早い治療が必要です。
治療
治療の原則は胃腸の安静を保つことと、脱水の管理です。
症状が強い時は食欲も無いと思いますが、無理に栄養を摂ろうと考え、食べる必要はありません。水分を十分に摂るようにしましょう。水分摂取が困難な場合には点滴を行います。
くり返す嘔吐や強い腹痛の場合には、吐き気止めや鎮痛剤を処方致します。
水分の摂取
急性期は胃腸の機能が弱っているため一度にある程度の量を与えると処理することができず、また吐いたり、腹痛、下痢が出現することがあります。胃腸に負担をかけない様に、こまめに少しずつ摂取する様にしましょう。一口飲んでは数分休む様にしてください。胃腸に刺激が少ない様に、ぬるめのお水やお茶を取る様にしましょう。スポーツドリンクも適度であればよいのですが、糖分が多く、塩分が少ないため、半分ぐらいに薄め、ひとつまみの塩を入れることをお勧めします。経口補水液を使用するのもよいでしょう。
食事の開始について
症状がおさまってきたら、お粥やスープなど胃腸に負担の少ないものから少しずつ食べてください。水分と同じで、一回の量は少なくし、こまめに摂る様にしましょう。症状のぶり返しも多いため、数日かけてゆっくりと元の食事に戻す様にしてください。
感染予防を!
感染性胃腸炎は感染力が非常に強いため、家族の方の予防も大切です。嘔吐物や下痢の処理は手袋やマスクを必ず使用し、十分に手洗いを行いましょう。トイレのタオルなどにも注意が必要です。